後田 亨さん著の『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』を読みました。
後田 亨オフィシャルサイト|TooruUshiroda OfficialSite
生命保険についてどのように考えるべきか、対話形式で分かりやすい簡単な文章で分かりやすい本です。
良く考えないで勧められるがままに保険に入った方、家計の節約したいが、保険費用を縮小できたら...という方(それは私です)にとても役立つ本でした。
本書の大まかな内容
「保険とは保険会社(と担当者)が儲かる為の商品である」という考え方をもとに、話が展開されます。保険を掛けていても入院したりガンにならなければ支払ったお金は無駄になってしまいます。
いつ当たりがでるかはわからない仕組みにお金を使う場合、できるだけ、還元率が高いことが望ましい
保険の場合、還元率は40~80%程度だとみられるが、開示されていないので分からない。手数料が高すぎる金融商品だということです。
感想
全体的には保険は手数料が高すぎるので金融商品として優れていない→保険に入る必要は無い、自分で貯蓄した方が良いという論理で進んでいきます。
そうは言っても、もしものときの貯蓄が足りない人、子供がまだ幼くして世帯主が死んでしまうリスクに対する備えは必要です。
備えるために入るべき収入保証保険や個人年金保険に変わる確定拠出年金(イデコ)についてオススメの商品が具体的に紹介されているのがこの本の良いところだと思いました。
迷ったら「自動車保険」の入り方を思い出そう
という説明もとても分かりやすかったです。保険は
「自分では用意できない大金」が必要になる事態に限り利用する
という考え方です。
私の保険考察
43歳サラリーマン、貯蓄少なめ、小さい子供が2人いる私がこの本を読んで現在入っている保険や将来のリスクに対して考えてみました。
リスク①入院や大きなケガ、病気に備える
医療保険
・払込:0円/月(以前は加入していたが半年前に解約)
・自分で医療費用としてすぐに使える100万円を貯蓄
・入院や大病になったら健康保険による「高額療養費制度」を利用する
・会社の健康保険組合による「付加給付」を使用する
・病気やケガで会社に行けなくなったら健康保険による「傷病手当金」(普段の給料の2/3が支給される)
・ガンになったら→住宅ローンの団信をガン保険付のものにしている(これにもお金はかかっているのだけれど...計算したら20年で24万円分でした)
リスク②世帯主の私が死亡することに備える
私は子供がまだ幼いのでまだまだ死ぬ訳にはいかないのですが、人生何があるかわかりません。残された家族が路頭に迷わない為の備えです。
遺族の保証1
生命保険会社による遺族年金
「収入保障保険」
・払込:10,083円/月(60歳まで約237万掛捨て)
・給付:220,000円/月が60歳(下の子供が17歳)まで支払われる。(A)
特約で高度障害、死亡で一時金500万(B)
「米国ドル建終身保険」
・払込:75.90ドル/月(1ドル100円として7,950円)(60歳まで)
・給付:50,000ドル(1ドル100円として5,000,000円)(C)
・貯蓄性もあり65歳まで解約しないと26,020ドル(2,620,000円)支給
・65歳時解約で払込累計の102.0%が解約返戻金として支給
「学資保険」
・払込:10,871円/月(上の子が18歳まで総支払額235万、満期190万祝い金)
・給付:12歳未満3.3万/月 12~15歳5万/月 15~18歳6.6万/月(D)
遺族の保証2
公的制度による遺族年金
「遺族基礎年金」
779,300円+224,300円×2人=1,227,900円/年→102,325円/月
(224,300円加算はそれぞれの子が18歳まで)
「遺族厚生年金」
夫が受け取る予定だった厚生年金の3/4+584,500円/年(40~65歳まで加算)なので、厚生年金の平均受取額円145,300円×3/4+584,500÷12=487,700円=157,675円/月
合計102,325円+157,675円=260,000円/月(E)
・私が勤める会社の死亡保障→調査中
・住宅ローンは団体信用生命保険で住む場所は確保
まとめると、たとえば1年後(44歳)に私が死んだ場合遺族の生活を支える資金は
・一時金約1000万円(B)+(C)
・毎月の生活費として、
私の生きるはずだった年齢でざっくり計算すると
44歳~47歳 513,000円/月
48歳~51歳 530,000円/月
52歳~54歳 546,000円/月
55歳~60歳 461,309円/月
61歳~65歳 222,618円/月(下の子供22歳)
66歳~67歳 157,675円/月
68歳~ 108,967円/月
下の息子が24歳になるまでの月々総額が約1億2000万円、一時金が1000万ですので合計1億3000万になります。
月々の必要生活費を20万/月とすると20万×12ヶ月×24年間=5760万円です。
差額の7240万残るので、ぜいたくな生活をしなければ教育費等問題は無いのではと思います。
正直なところ公的遺族年金を考慮に入れていなかったので思っていたより支給される金額が多くゆとりがあるなというのが実感です。
これを見ると最終的には公的制度による遺族年金が頼みとなりますが、貯蓄をしていなかった場合68歳以上になったら結構きつそうです...
リスク③老後の備え、公的年金の支給遅延、減額に備える
年金保険
・払込:13,492円/月(65歳まで)
・支給開始:65歳
・支給:60,000円/月が10年間(総額7,200,000円)
・48歳時に解約返戻金が100%を超える
ドル建て年金保険
・もし65歳まで生きた場合、死亡保証のドル建年金保険を解約すれば解約返戻金が100%を超えます。
・2,602,000円÷25年÷12ヶ月=8,673円/月
公的年金
・支給開始:65歳より(将来は75歳??)
・支給:約200,000円/月(公的年金平均値より)
確定拠出年金
2018年1月より12,000円/月(限度額)を始める
12,000円☓12か月☓16年=約230万円
2,300,000円÷25年÷12ヶ月=7,666円/月(老後を25年間として)
会社の退職金
会社の案内を見ると標準で3,000万円と表記があるので
300,000,000÷25年÷12ヶ月=75,000円/月
•老後の期間を65歳~90歳の25年間とする
•安全を見て公的年金が75歳から支給
とした場合の現在確保できている老後の資金は
65歳~75歳の生活費
60,000+8,673+7,666=76,399円/月・・・やばい
75歳~90歳の生活費
200,000+8,673+7,666+75,000=291,399円/月・・・足りる
まとめ
私の毎月保険費用
リスク①医療費の備え・・・0円/月
リスク②死亡の備え・・・28,904円/月
リスク③老後の備え・・・13,492円/月
合計・・・42,396円/月(10,083円(23.7%)が掛け捨て)
本書2章のまとめでは
・手頃な保険料で大きな保障を得るというのが保険ならではのメリットは、掛け捨て保険にある
・貯蓄型の保険は、手数料が高いので検討に値しない
・保障と貯蓄など異なる機能が合体している保障は、さらに手数料が高くなりがちなので避ける。
とあり、まさにやってはいけない典型的な例となってしまっています(涙)
解約返戻金が100%になったら解約して他の投資に入れた方がよいのでしょうか...
現在の保険、貯蓄状態で考えると年金支給が75歳に変更になった場合、65~75歳までの資金が完全に不足しており、75歳まで働くことになってしまい自分の孫世代の部下にこき使われる・・・そんな未来が想像できます。
65~75歳の月々の生活費を20万とすると
(200,000-76,399)×10年×12ヶ月=1483万円不足!!
という結果になりました。
あと22年なので1500万÷22=68万円を1年に貯蓄していけば、なんとか
65歳から20万の生活費が確保できる状態となります。
今までこの様なことを細かく考えることが無かったので、この本を読むことによって自分の保険や老後のことを検証するきっかけになり、とても良かったと思います。