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【書評】『バッティングの正体』手塚一志

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 年末から家にある大量の本の整理をしました。そのなかで1999年に出版された手塚一志さんの『バッティングの正体』を久々に手にとって中身を見たところ、面白くて最後まで読んでしまいました(笑)

 

 

 野球観戦をより楽しく

改めて内容を見ると15年以上経った今でも感心するくらい古ぼけた感はありません。(むしろ新しい?理論は今でも最先端だと思います)

手塚さんの著書は多数あり、全て熟読しましたが、その中でも『バッティングの正体』は手塚理論の根本的な内容なので、選手はもちろん、指導者や野球好きの大人にもオススメしたい名著です。

野球を観る目が養われますので野球観戦がより楽しくなります。

例えば、チャンスに打席に立ったバッターを見て「打ちそうだ」とか、新人のピッチャーを見て「先発向きだな」とか分かる様になってきます。今だからという訳ではないですが、2007年の夏の甲子園で早稲田実業のハンカチ王子斎藤投手と駒大苫小牧の田中将大投手が話題になっていて、斎藤投手のフォームを見たときにどう見ても田中投手の方が(将来性も含めて)上だなと友達に語っていました。結果は早稲田実業が優勝、友達に「ハズレ」と言われたのですが、10年後の現在は立場が全く逆転してしまっています。

手塚さんの本を読むとなんとなくそんなことが分かる様になるのです。

 発売当時、衝撃の書だった

私が野球で現役だった1992年当時、野球の本は多数ありましたが、野球の技術を理論的に解説したものとして私(とチームメイト達)が知ってたのは『科学する野球』くらいしかありませんでした。(かなり懐かしい!捨てなければ良かった...涙)

 『バッティングの正体』は当時の現役一流選手のイチロー、高橋由伸、鈴木尚典の動作の解説を中心に理論が展開されていくのですが、「高橋由伸にあって松井秀喜に無いものなぁんだ」等、現役選手の良い動作、悪い動作を写真やイラストでハッキリと言い切っていることが衝撃的で興味津々でした。

また当時のスラッガー清原和博については一言も表記が無いことが疑問にだったことを思い出しました。(後の著書で"リリースチョン"の惜しいバッターとして登場します)。

その後松井稼

 だから、野球はメジャースポーツ

なぜ野球は世界のメジャースポーツなのか、その理由についても考察されています。

・進化の方向性に沿ったスポーツである
・人体の設計図に従った運動パターンをスポーツ中に生かすことができた種目である
・ゆえにプレイする側にも見る側にも快感を与えることができる

→メジャースポーツになることができる。

 

『正体』を知ることと上手くなる事は違う

 私の知る限り手塚理論は「ダブルスピン」→「うねり」→「クオメソッド」→「芯・キレ・ムチ」と習得の為の方法は進化しているのですが、今回久しぶりに本書を読んで根本理論は変わってないことが分かりました。

 

『リ・プリンティング(刷り込み直し』は人体の設計図に準じたモーションができていない打者を本来の動きを取り戻すことです。練習やドリルで取り戻すことができるとのことですが、本書では『バッティングは教わるものではない』とも書かれています。


両者は相反することの様に感じますが、人体の反射やナチュラルな動きを使って行うのがバッティングで、意識して動きを制御するものではないとのことです。
本番でナチュラルな動きを無意識にできるまでリ・プリンティング(刷り込み直し)をすることが本来のドリルの目的で、頭で分かっていても(正体を知っても)それだけでは目的は達成されません。

この後に出版された「手塚シリーズ」にドリル等、上達の為の多くの手法、メンタルまでが考案されていますが、本書を読むことによってさらにその効果が上がる様な気がします。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。