「あなたの背中に中華なべ」シリーズの後編です。主に野球の打撃論になります。
前回までの記事はこちら
今回も「背中の中華なべ」を回すスイングのメリットを思いつく限り書こうと思います。
スイングがシンプルになる(ゴルフ)
構えからフォロースルーまで腕を伸ばした感覚のまま中華なべを回すだけの感覚になるので、考えることが少ないシンプルなスイングになります。「腕とバットは中華なべから生えているだけ」という感覚です。
『バッティングの正体』手塚一志著 (ベースボールマガジン社)より引用
実際はあるところまで中華なべが回ると意識しなくても右腕が自然に曲がります。
『バッティングの正体』手塚一志著(ベースボールマガジン社)より引用
腕は勝手に曲がりますが、感覚としては伸ばしたままでスイングできるので「バックスイングでひじをどこに納めて」とか「出前持ちで」等、考える必要が無くなります。是非試してみてください。
以前に「スクール・オブ・ゴルフ」というアメリカの番組で司会のマーティン・ホールが番組の終わり際にゲスト(確かアニカ・ソレンスタム)に「本当に両腕を伸ばしたままスイングしてるんですか?」と質問するシーンがあり、「はい」と答えていました。
ゴルフスイングの指導で「腕は常に体の前から外さない」というものがありますが、それもこの感覚に近いのかもしれません。頭の中でスイングがシンプルになれば安定してナイスショットを出せる可能性が高くなります。
飛距離が伸びる1
「割れ」とはスイングに入る前に体幹部の筋肉が逆向きに引っ張られている状態のことです。
右打者の場合、バックスイングで前脚を踏み出すと同時にわずかに中華なべが右回りに回るような動きをすると体幹部に「割れ」が生じます。これが「スクラッチ」と呼ばれる動作で「長距離砲の証」と言われます。「中華なべ」と骨盤が筋肉でXの字に対角線状に連結し(前腰が右肩、後ろ腰が左肩と連結)前腰が左に動けば右肩が下がり、後ろ腰が右に動くと左肩が下がります。これを「腰反射」と言います。
『図解 手塚一志のうねり打法 ゴルフ編』手塚一志著(PHP研究所)より引用
『手塚一志の上達道場 バッティングの巻』手塚一志著(ベースボールマガジン社)より引用
「回す」のではなく「回る」
「中華なべ」が2ndスピンとして回ることによってダブルスピン打法が完成しますが、あくまで上半身を意識して動かすのではなく、下半身の動きに連動して体幹部が回転し(1stスピン)受動的に「回る」のが正解です。
私の感覚では肋骨より上部の上半身が中華なべを中心に一体化し、骨盤より下の下半身(それを連結しているのが腹筋や腰の筋肉)と逆向きの動きをしやすいので「割れ」による反射を利用したスイングがしやすいと考えています。
飛距離が伸びる2
長距離砲と呼ばれる打者に共通するのが「ステイバック」という状態がスイングの中に現れることです。
遠くに飛ばせる打者はヘッドに大きな遠心力がかかっている為、その力に体が持っていかれないようにする為に上半身を後ろに預ける動作をしなければなりません。
『図解 手塚一志のうねり打法』手塚一志著(PHP研究所)より引用
室伏選手のボディバランス。背中側に体を預けて鉄球とのバランスを取っている。(報知スポーツHPより引用)
「背中の中華なべ」を意識したスイングは背中側に意識を持っていきやすい為、このステイバックのポジションを取りやすいスイングと言えます。
まとめ
今まで長々と書いてきた「背中の中華なべ」のスイングのメリットをまとめると
1.手打ちを回避できる
2.ドアスイングが治る
3.ヘッドが立つ
4.スイングがシンプルになる
5.飛距離が伸びる
いいことづくしです。
あとは「中華なべ」をコンパクトに素早く対応力を持って回せるような下半身のポジショニングを鍛錬するのみです。頑張ります。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。
【ご注意】
このブログの内容は、現役をとっくに引退した素人おじさんが趣味で大好きな『手塚理論の研究』と自分なりの『バッティング』を極めたいという「道」を書いているだけなので、現役の方は参考になさらないで下さい。当然、手塚一志さんの意図とは全く違う内容になってしまっている可能性も十分にありますのでご注意ください。